【電音部考察】”音楽原作”だからこそできる考察 番外編 ~電音部世界の恋や愛について~
はじめに
今回は前回のハラジュク編で述べたように番外編として「電音部世界の恋愛感」というものに着目して考察を進めようと思う。もし、この考察から読むという方は合わせて他三作の記事についても読んでいただけると幸いである。
電音部のラブソングから見る恋愛感 AIはアイの夢を見るのか
電音部の世界における恋愛
MOOK本にて、電音部の世界には男性もちゃんといる事が明記されている点や様々な楽曲において「恋」や「愛」の要素を持った曲が存在する事などから、我々と同じような恋愛感が存在する事が考えられる。しかしながら、ある曲にある歌詞の一部において興味深いフレーズが存在する。その曲とは犬吠崎紫杏の「good night baby」である。
サビの歌詞である「感情のないAI、「ア・イ・シ・テ・ル」」の部分である。前回の番外編考察にて、電音部の楽曲は電音部世界ではAIによって作曲されたモノなのではないかという考察を打ち立てた。その考察で考えれば、AIによってその他のラブソングも作られているはずである。しかし、感情がないAIによってとなると、前述した「同じような恋愛感」ではない可能性が生まれてくる。つまり、電音部世界のラブソングは形骸化されたジャンルの一つでしかないとなってしまうのだ。
テクノロジーの発達について
「good night baby」にはまだ愛に関して興味深い歌詞が存在する。「テクノロジーだけの世界、どこにあるのホンモノの愛」という部分である。前回の番外編考察では電音部世界のProd.とfeat.の差を「Prod.はAI(データ化されたコンポーザー)からプレイヤーへ向けられて制作された曲、feat.はプレイヤーがAIに依頼して作った曲」なのではと考察した。「good night baby」はfeat.楽曲である為、犬吠崎紫杏の吐露に近い楽曲であると考えられる。つまり、紫杏が見た世界に「ホンモノの愛」というモノは見つかっていないという事になる。前述した歌詞の部分と考察しても、AIはシンギュラリティによって人間の感情に近いモノを持つほどのテクノロジーを獲得し、電音部世界で受け入れられている。しかし、近いモノとホンモノは違う事を感じている人もいるという事が考えられる。紫杏の言う「ホンモノの愛」がどの様な愛なのかは残念ながら分からない。ただ、テクノロジーの発展と共に失われてしまったモノの中に「我々が考える愛」があるのかもしれない。
AI×人間の可能性
この辺りについては考察材料不足である為、妄想ベースとなってしまうがAIと人間との恋愛感情や親愛などの類は存在する可能性は十分存在すると考えられる。ただし、現在出ている情報ではAIがアンドロイドのような実体を持つ描写は存在しないので、今後の描写しだいで変化していくと思われる。(ただし、後述の話題にてその可能性がある事を示す。)
AIは秘めた心象を描けるのか?
さて、もう一曲このテーマでの考察に適した楽曲がある。それが「Haiiro no kokoro」であろう。
この楽曲は恋愛という要素が含まれているかと言われると微妙であるのだが、大事な事はその部分ではない。この楽曲はProd.楽曲でありながら、灰島銀華というキャラクターの秘めたる内面に言及している点である。我々が抱くテクノロジー観では、AI→プレイヤーの楽曲で秘める内面についての楽曲というのは想像できない。しかし、電音部世界はシンギュラリティが起きた世界である。そういった「AIや機械の成長性」という観点について言及したツイートが存在する。それがこのエイプリルフールのツイートだ。
📢ププレスリリース⁉📢
— 電音部 公式 (@denonbu) March 31, 2021
ニューコム・エンターテインメント社(NEUCOM Entertainment Inc.)が
新時代のAIホログラムスピーカーシステム「FAIHS(ファイス)」の販売を開始⁉https://t.co/bXEDjPdKlF#電音部 pic.twitter.com/7eUno2OXPF
この記述により、電音部の世界のAIや機械は経験から成長し、進化する特徴を獲得している事がわかる。その事からも前回のコンポーザーのデータベース化仮説の元にもなる「人間の思考や行動をトレースし、その内面や思想を把握する」という事によって内にある感情の表現が可能になっているのではないかという根拠の一つとなってくる。この考察を進めると、アンドロイドがいた場合、人間と同じように成長していて見分けがつかない(哲学的ゾンビのような感じで)のでは?という疑問が浮かぶ。
おわりに
テクノロジーによって我々の生活スタイルは昔と今で大きく変わっている。それは電音部世界でも同じであろう。その変化がどういったモノなのかを「愛」という観点を切り口にして考えてみたが、やはりこの世界観は分からない事ばかりである。まず、AIが社会に与えている影響に関する記述が非常に抽象的である点だ。MOOK本の漫画の世界を見ていると、AIよりも人間主体で世界が回っていそうな点も気になる。そういった世界観の開示もこのコンテンツの楽しみの一つである。さて、次の考察では「愛」について歌ったアザブエリアについての考察を行う。乞うご期待。
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