outcry-ongakuの語り場

電音部に関する記事をちょくちょく書いてます!(不定期更新)

【セトリのお話】「GENECIDE」のあれでなにのお話

はじめに

 この記事はGENECIDEで行ったDJのセトリについてのお話です。まだ聞いてない方も配信で聞いた方も是非一度、以下の再現MIXを聞きながら本記事を読んでいただけますと幸いです。

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セトリのコンセプトについて

 記事を書く前に一つ言わせてください。めっっっちゃ緊張した……。

実はDJを始めてもうすぐ一年なのですが、トリは初めてで、しかも同じBoothにいるのは大きなイベントを行ってるオーガナイザーやレジデント、海外で活躍するDJからコンスタントに様々な現場に出演しているDJまで……そんな人達を押しのけて普段は音楽のオタクとして色々な現場で狂ってるだけの自分がトリに据えられているのだから緊張もMAXでしたね……当日は酒でごまかしてたけど。

 まあ、そんな訳で今回のセトリのコンセプトはMIXのタイトルにもあるように「自身のカルチャーの破壊と再構成」です。クラブカルチャーに触れる前の音楽への触れ方も含めて、電音部、VTuber、アニメ、合成音声、クラブミュージック……etcと様々なカルチャーに飛び込んで触れながらも、何処か一つに定住することなく往復を繰り返しながらここまでやってきたからこそ、それぞれのカルチャーをバラバラに分解してから一つのMIXにする。それが今回、俺なりの「GENECIDE」だった訳ですね。

 これはセトリを8割ぐらい組み終えてから、主催のLantoraさんから聞いたBooth2のテーマだったのですが、「オタクメインストリームに潜む何か」と「柔く、固く」の二つだったそうで、後者はともかく、前者はまあ達成できたかなと思ってはいます。

今回の選曲について

1曲目:Shelter (Momo's keys & Bedhair Remix)

 一曲目についてはここからのことを考えても、無難な手堅い一曲にしようと思っていました。そういう意味でPorter Robinsonって本当に偉大だと思います。

だって、どこで掛けても盛り上がりますもん。どのカルチャーにおいてもPorterの楽曲って人を動かすエネルギーを持っているというか、人を惹きつける魅力があるんだろうなと聞く度にいつも思います。

2曲目:SEVENTH HEAVEN × Musician (dooon MushUp)

 これは琴葉姉妹の楽曲を作曲しているどぅーんさんという方がいるんですが、その方が作ったPerfumePorter Robinsonマッシュアップです。

このマッシュアップ、個人的に無限に掛けたい程大好きです。Perfumeの歌声とPorter Robinsonの楽曲の魅力が本当に綺麗にMIXされていて、初めてこのマッシュアップSoundcloudで聞いた時の感動は今でも忘れられない位にFavoriteです。

このマッシュアップ、琴葉姉妹Coverのものもあるのですが、ここでShelterからこのマッシュアップに繋いだ要素として、とあるイベントのとあるトリがぶちかましたShelter→一輪の詩→SEVENTH HEAVEN × Musicianの意趣返しの意図は天地神明、決してなかったことをここに誓います。

3曲目:Constant Moderato(Napo Bootleg Remix)

 という訳で、三曲目は今流行りのブルーアーカイブから。

 ブルーアーカイブの楽曲、Norさんやミツキヨさん、KARUTさんという今を輝くコンポーザーさんが書いてるからか、いつもフレッシュさを感じているのですが、このConstant Moderatoってどこか懐かしさも感じるサウンドなのが個人的に好きなポイントです。ただ、どこに懐かしさを感じているのかといわれると言語化はできないのですが……。

 ちなみに、ここまでの3曲共に自分の前の番手であるDJ Cygnubeさんの好きなカルチャーになったのは本当に偶然です。気持ちいい繋ぎが特定個人への私信になるのがカルチャー横断の恐ろしい所やで……。

4曲目:夜明けに翔び立つ神社(Extended Mix)

 はい、最悪インターネットのお時間です。前の曲すら最悪インターネットにする悪魔の繋ぎです。キヴォトスではクッキー☆ごっこは恥ずかしいことなんだよ!

DJだったりクラブカルチャーに触れたりする前はこういうインターネット音楽に傾倒していた時代もありました……という一種の懺悔的な繋ぎだったりもします。

 ただ、個人的にはトリのDJって気張ったガチガチのセトリよりも、こういうどこかで息を抜くような曲が入っていてメリハリがあるようなセトリの方が好きなんだろうなとセトリを作っていて思いました。

5曲目:星座になれたら(NOEMA Remix)

 下北沢を例のアレから解放したアニメこと「ぼっち・ざ・ろっく!」より。

この前、ぼざろアニメを全部見たんですが本当に好きな部類のアニメでニッコニコになりました。

青春モノのような暑苦しさとは違うゆるさがありながら、バンドの現実や在り方などの真面目な部分は真正面に捉えようとする。そういう丁寧な作り込みが人気を博しているのかなと思います。

6曲目:ビードロ模様 (Letiamash Bootleg)

 夏のアンセムといえばこれ!という節があるぐらいには掛かっているビードロ模様

 自分がこの楽曲と出会ったきっかけは実はアニメではなく、8年前にニコニコ動画に投稿されていたQubicLoopさんのTell Your Worldとのマッシュアップだったんですよね。当時はDJやクラブカルチャーなんか知らなくて、本当にたまたま聞いた時に「この曲好き!」ってなった曲がアンセムとして愛されているのを知ると、感慨深いというか、音楽との”遭遇”って不思議なんだなと実感します。

7曲目:Silent Space Like Silent Sea(feat. 結月ゆかり)

 ここからの二曲は自分へ宛てた私信ゾーンになります。なので、正直ここについては刺さってくれる人が一人でもいればいいなと思って掛けてました。

元々、ここからトワイライトガールへの繋ぎは昔から考えてた繋ぎであり、出すタイミングを失ってたのですが、やっと蔵から出せました。漬け込みすぎたかもしれない。

この曲を書いているmarokさんは合成音声を中心にProgressive HouseやKawaii Future Bassなども書かれる方なのですが、本当にいい曲が多いので推しコンポーザーの一人です。本当にこれからも新曲を楽しみにしております……!!

8曲目:トワイライトガール

 これは完全に自分が大好きな琴葉姉妹を掛けたいが為の選曲です。マジのガチで我欲の一曲です。

ただ、この我欲に関して一つ言い訳がましいことを言うと、この楽曲が一番映える舞台を自分は見てしまったからだという部分があります。1月に開催されたKotonoha Night Party(通称:コニパ)でトリのAkihiro Ohtaniさんが掛けたトワイライトガールがずっと刺さり続けているんですよね。それを少しでも共有したくて掛けている所があります。

 余談ですが、Twitter、もといXにて無限に琴葉姉妹楽曲の話をしていたことで、フォロワーが興味をもってくださって本当にうれしかったです。好きなものを共有できるってこの世の幸せの中で一番大きなことなので。

9&10曲目:Heartstrings × scent (feat.花隈千冬) (DJ GabaE Short Mashup)

 個人的に一番語りたい部分です。正直、このセトリで一番滅茶苦茶やったのはこの部分でしたね。

元々、セトリの初期案として前半の四つ打ちを中心にして、自分のメインジャンルたるProgressive Houseで終わるつもりだったんですが、7月中旬にCeVIO・SynthesizerV・NEUTRINO or トーク系ソフトキャラクター関連楽曲中心イベントであるVirtual Voice Harmony(略称:ボイハモ)に行って死ぬほど狂ってきた次の日。興奮冷めやらぬまま曲を繋いでた時にふと、ボイハモで流れてたscentとクラブでよく聞くHeartstringsって合うんじゃね?ってなり、やってみた所、これが死ぬほど気持ちよく合ってしまったのです。

こうなると、やっぱり人にかっこよく見せたくなるのが嵯峨ってものなのですが、その時に直近でこれを掛けられるイベントがGENECIDEしかなかったんですね。

なので、泣きながら一度組んでたセトリをほぼ全壊して、入れられるように組み直した形となってます。ただ、これは偶然なのですが、本番の時にいた野良VJさんが自分が愛してやまないscentのMVを流してくれたので、正直おつりが出るほどのリターンが返ってきました。オタクってちょろい生き物なんですよね。

11曲目:カラカラ×Heartstrings (MiAN Mashup)

 11曲目から12曲目の流れはMU2023のTaku Inoueのオマージュを意識した部分があります。

トリをやる上で、古今東西様々な舞台のトリを回想していく中でTaku Inoueだったり、kzだったりが見せるある種の「予定調和」的な進行の面白さを再確認していました。正直、Heartstrings→Allegroの繋ぎって何遍も聞いてるし、普通に家で聞いても綺麗なよくある同一コードの繋ぎなのですが、クラブで聞くとやっぱり大きな声が出るというか、「わかってはいるけど抗えないモノ」があるのを実感させられるなと思います。

 ただ、MUよろしくSteller Stellerのマッシュアップを掛けるのは露骨すぎるので、別のマッシュアップを。Anison HijackのブートはDJを始めようと音源を漁っているときから知りはじめたのですが、思いもしなかったジャンルや方向性でぶん殴られるブートが多いので本当に好きです。このカラカラのマッシュアップもそういった経緯で好きな楽曲だったりします。

12曲目:Allegro

 繋ぎの面での話は先ほどしてしまったので、楽曲自体の話を中心にすると、この楽曲が収録されていたアルバム「Overture」について、逆張りで買わずにスルーしようとした過去があります。

今となれば恥ずかしい話ですし、Taku Inoueも星街すいせいも好きなのにスルーはヤバいだろと言われても仕方ないのですが、これは昔からの性根なので本当に治らない悪癖の一つです。皆は好きなものには順張りしような!

そんな逆張り満々で、この楽曲が出る前に公開された「Overture」のクロスフェードを聞き、AllegroとHighwayを知った瞬間に「ここでダセえ逆張りしてる場合じゃねえ!」と本能が訴え、無事、初回限定版を買った思い出があります。やっぱ俺はTaku Inoue×星街すいせいのコンビが大好きだわ……。

13曲目:Beat Me! (feat. kamome sano)

 このブログを始めるきっかけでもあった電音部からはこの曲。

Beat Me!については自分が電音部の中で一番だと思う楽曲を選ぶならこれ!となる位には好きな楽曲です。

元々kamome sanoさんを知ったキッカケは電音部が始まるよりもっと前、沙野カモメ名義で活動されてた時に音ゲー好きの友達からSDVX IIの曲を教わった時に出会ったginkihaさんとの共作である「Dawn of Asia」を聞いたことでした。民族調の楽器をメインに据え、それに合わせるように展開する電子楽器の音色とDnBのリズム。今考えると、kamome sanoさんのDnBが元々好きだったんですね。

その出会いから数年経ち、音ゲーから離れてすっかり忘れていた時に電音部ラジオでBeat Me! (feat. kamome sano)のタイトルコールと共にこの曲を聞いた時のことは忘れられない思い出です。本当に涙が出た。

この曲を聞く度に、自分が人生で初めてクラブに足を運んだ今はなきAgehaの「冬の宴2021」を思い出します。あそこで初めて出会った全てのことが今の自分のルーツになっているんだなと実感できるので。

14曲目:Redefinition (Jun Kuroda Remix)

 ここでは敢えて合成音声とは言わずにボカロとしての話をするんですが、その昔の自分は逆張りオタクの極みでボカロから離れた時代があります。また逆張りしてるよコイツ。

今でも、昔を知る友人から「お前、昔はボカロ嫌いだったじゃん」と言われる位には逆張りかましていたんですが、それは羨ましい程に好きな音楽があったからなんだろうなと今は思います。

そんな出来事から10年ほど経ち、自分がMwkさんが出している初音ミクの楽曲を聞いた時に懐かしさと今までにない新しさを両方感じたのはそういう歴史的なものを感じたからかなと思ったりもします。初音ミクが世に出て10年以上経っている事実を信じたくねえよ俺。

15曲目:Moonlightspeed

 多分、一番悩んだ最後の曲。元々はPorter Robinsonで始まり、Porter Robinsonで終わるように「Something Comforting×Tell Your World」で終わろうかなと思ったのですが、余りにも安直だったので没に。そこから何曲も吟味し、味わい尽くした結果の末に選んだ楽曲になります。

ナイトのクラブの終わりって、疲れてるし、早く帰って寝たいという気持ちもあるんですけど、それ以上に「まだ終わりたくない、まだこの夢から醒めたくない」と思う気持ちが強いんですよね。それを一番実感したのが「俺たちなりのAgeha」で水星を聞いた時でした。そういえば、あのパーティも逆張りで行かなくていいとか思いかけてたな。そういった想いと、歌詞の「夜はまだ明けない、明けない 夢はまだ覚めない、覚めない」がリンクしてこの楽曲を選びました。今はこの曲を選んで本当に良かったと思います。

 明けない夜はないと分かっていても、それにただ従うのではなく、最後に足掻いてから終わりたいみたいな反骨精神ってなんていうかサブカルチャーの原動力なんだろうなと思ったりもします。「これは可愛い、これは可愛くないじゃなく、全てがKawaiiじゃん!」だったり、「夢を夢で終わらせたくない!俺は叶えて見せるんだ!」だったり、現実に圧し潰されまいとする純粋な熱意が人の心を打ち、その熱意が伝播して文化を成している。だから、自分はサブカルチャーという文化が好きなんだろうな改めて実感しました。

おわりに

 こうやって楽しいイベントに参加できたこと、そして、そういったパーティの運営に携わっていたLantoraさん、なにかさん、Albireoさん含め関係者全員にこの場を借りて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます!

 まあ、多分今後もDJは続けると思います。正直、音源代バカになんねえし貧乏の素になりつつある気がしますが……。それでも、今はこのDJが生きがいの一つになっているのも事実なんですよね。なので、DJが生きがいじゃなくなるその日までは、長く細く続けていこうかなと思っています。

最後に、締めの言葉として在り来たりなものを言って終わりにしたいと思います……。

 

本当にお疲れ様でした!

 

【セトリのお話】「GETLUCKY」のセトリについてのあれそれ

はじめに

 本内容は2023/8/4に行われたAKROGLAMイメージクラブイベント「GETLUCKY」で不肖ながら私が行ったDJのセットリストに関するちょっとした裏話的内容になる。

再現MIXを録っておりますので、是非ともそちらを聞きながら本記事を読んでいただけると幸いである。

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制作前夜のお話

 「GETLUCKYに出ませんか?」と今回の主催であるつばきち。さんからご連絡を頂いた時、いつもなら二つ返事で受ける私が少し受けることを悩んだ。

理由はいくつかあって、AKROGLAMというコンテンツが持つ音楽が自分が普段やるDJの音楽とは異なる部分があることや単純にNightの現場が初だったということもある。

ただ、それを差し置いて一番悩んだ理由は「自分が果たしてその舞台に立つべきなのだろうか?」という点だった。

AKROGLAMは音楽と物語を主軸に置いたコンテンツで2022年に完結を迎え、公式な活動は終了している。それでも、AKROGLAMが生み出した音楽は愛され、コラボした経験を持つ同じ音楽主軸のコンテンツである電音部がカバー楽曲としてASTRAMの「イルシオン」を出した時は大きく話題にもなった。(これに対して、イルシオンを電音部の曲とかいう奴は許してないが)

それだけにAKROGLAMというコンテンツを深く愛している人達が会場に来てくれることは分かっていた。どんな人が来るのかをTwiplaで覗いてはいたが、コンテンツの最初期から追っている様な人達やAKROGLAMのボーカルディレクションを務めた方まで参加表明している。そんな場所に自分が立っていいものなのだろうか。

ただそうであっても、つばきち。さんからそういう貴重な出番を貰えたのなら、自分のAKROGLAMへの愛を目いっぱい表現するDJにしよう。その気持ちでこの話を受けることにした。

 まず、他に参加されるDJの方から何となく流れそうな曲を考えていた。AKROGLAMの全楽曲はカバー楽曲含めても20曲ちょいしかない。当然被りは生じるのだが、できるだけMIXの方向性は逸らしたい。RUBYSTASのDJは主催のつばきち。さんがやるだろうなとか、OFF-tΣralさんはASTRAMを中心にしてFuture Summerの再演を作るだろう……etcと考えたとき、自分がDJとして表現すべきデュオはSPIRALしかないだろうという結論に至った。

しかしながら、SPIRALとしての曲は私がAKROGLAMの中で一番好きな「Cloud nine」1曲しかない。アオとケイのカバー曲を含めてもSPIRALに関係する曲は5曲だ。その中で、どうSPIRALを表現するか。私はそんなことを考えながら公開されているSound Dramaを聞く日々を過した。

アオとケイの関係性のイメージを考察する

 元々、AKROGLAMにある楽曲のテンポ感を考えても、SPIRALの音はDownTempoやChillhopの方向で組み立てるのが良いだろうなと思い、そのあたりの曲を片っ端からBandcampで漁り爆買いし、MIXを作る為の素地を集めた。

問題はそれをどうSPIRALの色にするのかという点だ。その為に、再度AKROGLAMの関係性のイメージを考察していく。

MINERALSの二人はデュオとして正統派な「絆」という言葉が似あうだろう。RUBYSTASは曲でも度々出る「愛」のイメージが強い。そして、ASTRAMはその成り立ちが歪だとしても「家族」として繋がっている。なら、SPIRALはどういうイメージが適切か?

最後のアオの言葉から考えてもアオとケイは幼馴染であり、デュオを結成したのも打算やスカウトなどではないと考えられる。なにより、アオとケイは友達以上の関係だろう。しかしながら、互いに恋する二人……という訳でもない。

互いに互いを想う気持ちはある。しかし、その気持ちの裏に何かがある訳ではなく、純粋にお互いがお互いの幸せを祈る感情。この何とも形容しがたい関係性こそSPIRALなのではないかと考えた私は、敢えて曲で何かを語る文脈のセトリではなく、想像を生み出してそれぞれに色を付けてもらう”曖昧さ”を持ったセトリにすることにした。

舞台設定と流れ ~Thier Destiny is like a Spiral~

 その上で舞台設定を考える必要がある。一度は解散し、紆余曲折を経て再結成した人気カリスマユニット、SPIRALの二人だけが映える舞台はどこか。これは会場のメディテラさんから連想して深夜のGETLUCKYだろうと思った。アオとケイにとって、GETLUCKYはSPIRALとしての始まりの場所。そんな場所でなら、二人の積もる話もぽろぽろと出てくるだろう。私のGETLUCKYへのイメージとメディテラさんの箱の雰囲気が合致した瞬間だった。(これは本当にこのパーティをメイクしてくださったつばきち。さんに感謝しかない。)

 

 舞台設定は整った。その上で最初に掛ける曲を考える。

最後にCloud Nineを掛けて締めることは決めていたので、問題は頭の曲になる。ここでオタク語りポイントになるのだが、再現MIXにある一曲目のオルゴールは幼少期にアオとケイがラヴから聞いていた歌の一つとして掛けている。本当はSweat My Devilのオルゴール版でも作成しようかと思ったがそんな技術力はなかった。俺に……力があれば……

その上でMIXスタートの最初の曲はケイが歌うTime goes by。これはアオとケイの二人がいて最初に歌うのはどっちかと考えたときに先に歌うのはケイだと個人的に思ったからだ。そんなケイの歌声をアオはマスターの出すカクテルと共に楽しんでいる。そんな姿が個人的に脳裏に浮かんでいた。

そうして、ケイが二曲目の「藍」を歌った後に「アオも歌わないの?」と少し寂しそうに言う。そんなケイの姿を見て「しょうがないわね……」なんて言いながらマイクを受け取るアオ。ここら辺はキモいオタク語りになるが、アオの何とも言えない母性的な優しさがたまらなく私を狂わせる。

そうして、アオも歌い、興が乗った二人はお酒を嗜みながら語り合う。その内容は分からないけど、きっと昔の思い出、あの日のこと、そして、未来の自分達の姿を語っていたのだろう。

楽しい時間は早く過ぎていく様に夜が明け、少しずつ日が昇り始める中で二人は最後に一曲歌う。

螺旋のような二人を繋ぐ「Cloud nine」を……。

Timeの話

 最後の「Cloud nine」の前に掛けた宇多田ヒカルの「Time」。この曲はSPIRALを表す曲として個人的に気に入っている曲だったりする。元々、宇多田ヒカルはイメージとして掛けるつもりでセトリを組んでいたのだが、中々作っていくコンテキストに合う曲が見つからず……。そういや、数年前のドラマで宇多田ヒカルが主題歌を歌ってたよなと何の気なしにこの「Time」を聞いた瞬間にセトリの最後のピースが埋まった感じがした。

「カレシにも家族にも言えない いろんなこと あなたが聞いてくれたから どんな孤独にも運命にも耐えられた」という歌い出しで「大事な人」へ当てた歌でありながら、その後の「いつも近すぎて言えなかった、好きだと」で本当の想いは伝えられないもどかしさを歌うこの曲。セトリを作りながら、本当に宇多田ヒカルの詩的センスに驚かされていた。なんなんだこの人、人生二回目してないか?

個人的に一番好きなフレーズは「出会った頃の二人に教えてあげたくなるくらい あの頃より私たち魅力的 魅力的」の部分。

きっとSPIRALは幼い頃の二人の時より、デュオとして活動を始めた一回前の大会の時より、紆余曲折を経て、お互いがお互いを想って合っていると知った、大人になった今こそ一番輝いていると思っている。

だから、歌詞にもあるように最後に時を戻す呪文を、一歩を踏みだす勇気を母親に会いに行こうとするエノに託す。そんなアオとケイがいたらいいなと思っている。(これを書いててキッショ(誉め言葉)になった自分がいるのは内緒)

さいごに

 本当にGETLUCKYに参加できてよかったし、お褒めの言葉を頂けて恐縮の限りとなった。

確かにAKROGLAM自体の活動は終わってしまったし、新曲が出る……なんて奇跡は多分ない。それでも、音楽が配信されている限り、その曲を聴く人がいる限り、そして何より、コンテンツを愛する人がいる限り、そのコンテンツは忘れられることなく残り続けることを実感した。

GETLUCKYの二回目があるかどうかは分からない。しかしながら、二回目があれば是非とも参加したいと思っている。(客側として)だから、最後の締めの言葉はこうしようと思う。

 

またいつか、どこかで。

 

(本イベントを主催してくださったつばきち。さん、自分の手番VJをしてくださったいとさん含め関係者の皆様、本当にありがとうございました。二回目がありましたら是非お手伝いさせてください……)

【雑記】ゼロから始めるDJ生活のすすめ ~準備編~

はじめに

 こんにちは、outcryです。本ブログでは主に「電音部」というコンテンツの考察記事や電音部周りにまつわるあれこれについての記事などを投稿してきました。

 「電音部」を知らない人向けにざっくりと説明すると、ダンスミュージックを中心とした音楽原作のコンテンツであり、作中にてキャラクターがDJをする場面が見られる様にDJを中心としたクラブカルチャーが作品の根幹を形作っています。

 まあ、そんなコンテンツに触れているオタクの性として、やはり「キャラクターと同じことをしてみたい!」というものがあるわけです。例に漏れず、私も導かれる様に……

買っちった(しまりん風)

はい、そういう事です。DJコントローラーを買ってしまいDJ生活を始めてしまった訳です。(09/10は私のDJ記念日となりました。)

 まあ、このようにオタクがDJ始めるほど魅力深いコンテンツである電音部ですが、まだまだ伸びしろのあるコンテンツであり、伸びしろに伴ってDJを始めたい!というオタクも増えてくるに違いありません。(というか、そうであってくれ。)そうなった時に、やはり必要になるのは始め方のマニュアルでしょう。

 今回から始めるシリーズでは私がDJを始めるまでにやったことや、やらかした失敗を基に「DJデビュースタートダッシュ」を新しく始める人が決められるように1から、いえ0からやるべき事についてある程度まとめていこうと思います。まだ始めてない人はこれを見て参考にして頂けると嬉しいですし、DJの先輩方は「これもいいよ!」というのがあれば、教えて頂けると幸いです!(私も始めて一か月も経ってないひよっこですので……)

  • はじめに
  • 準備が一番重要で一番大変という話
    • DJする上で必要なモノについて
      • ・DJコントローラーの話
      • ・パソコンの話
      • 閑話休題
      • ・音源の話
      • ・周辺機器の話
    • よし!道具を揃えた!早速DJだ!とはいかない ~次回予告~
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【電音部考察】夏休みオタク科学電話相談「電音部の世界ツイートのようにMusicQuarkってどう観測するの?」

はじめに

 ここは、最近某イノタクのラジオ番組が不定期で放送される国営放送とはちょっと違うとあるラジオ局。その中で夜な夜なひっそりと放送されているとされる夏休み限定の放送番組「夏休みオタク科学電話相談」に送られたガバいさん(永遠の17歳)の相談内容「電音部の世界のツイートのようにMusicQuarkってどうやって観測すればいいの?」という質問について電音部のスペシャリストである電ちゃん先生が答えた内容というスタンスで纏められた普通の考察記事である。

  • はじめに
  • 夏休みの自由研究:MusicQuarkを観測してみよう!
    • 確認:まずMusicQuarkってなに?
    • 仮定:GR社の観測環境を考察する
    • 実験:MusicQuarkの観測
  • おわりに
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【雑記】電音部の文学 ~なぜ電音部の小説二次創作は人気なのか?~

はじめに

 ブログではお久しぶりとなります…(笑)outcryです。4月の記事以降、約3ヶ月ほど記事更新が滞っていました。理由は様々で、単純にノベル更新がなくて書く内容が思いつかなかったこと、リアルが忙しかったこと、電音部文芸部にお熱になっていたこと…etcと理由がいくつかありました。ただ、そろそろ書かないとブログの書き方を忘れそうなのと、流石にこちらを放置しっぱなしも良くないなと思い、リハビリがてら、今回は自分も書いている「電音部の小説二次創作」についての自分なりの所感についてまとめてみようかなと思います。ぜひ最後まで見て頂けると幸いです!

第1回FtFに参加したことを証明する写真
  • はじめに
  • なぜ、電音部の小説二次創作は人気なのか?
    • 電音部二次創作小説の現状について
    • 考察1:電音部ノベルの存在
    • 考察2:黎明期からの小説文化の確立とショートショートの流行
  • おわりに
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【電音部考察】安倍=シャクジ=摩耶の名前の由来を新宿との関係性から考える

はじめに

 前回の記事で4/4までに心残りはないとしたな、あれは嘘だ。という事で、やっぱり書いてしまった電音部考察記事のお時間です。ただ、考察を始める前に感謝の言葉を。前回の記事を読んでくれた方、本当にありがとうございます…!おかげ様で、本ブログ初めての1日PV400越え、及び週間PV1000越えを達成しました!これからも(当たっているかの保障はできませんが)電音部を理解する一助になればいいかなと思います!今回は謎のキャラクターである安倍=シャクジ=摩耶を新宿の文化と照らし合わせつつ、名前と生い立ちがカブキエリアにどう関わってるのか?という所を示す回となっています!

  • はじめに
  • 摩耶と新宿 ~多角度から紐解く名前の秘密~
    • 問題提起:安倍=シャクジ=摩耶の生い立ち
    • 仏教的側面:神仏習合と浅草と新宿との関係性
    • 神道的側面:「石神」と新宿
    • 陰陽道的側面:新宿と陰陽図
    • 考察:カブキエリアの名前の偽名の可能性
  • おわりに
  • 参考資料
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【電音部考察】真新宿GR学園のあれでなにとハラジュクとアザブの関係性について

はじめに

 さて、ついに来た電音部新エリア。新宿がモティーフなせいか皆、なんか柄悪そうな見た目や言動をしているカブキエリアですが、やっぱり関わってきましたねゼネラルリソース。過去の考察記事でもニューコムがいるなら関わってくるだろうと見ていましたが、ついに来たという感想があります。さて、今回は今までのエリアと比べても、ただ純粋に上位に上がる事が目的ではなさそうな真新宿GR学園の目的は何なのか。何故、ハラジュクに接近したのか。そして、もしかするとアザブとの接点があるのではないか?という三つの観点から記事を書いていこうと思います。

  • はじめに
  • 巨大企業の思惑と復讐劇 ~ニューコム一強体制の終焉になるのか~
    • 前提条件:ゼネラルリソース(GR)とはなにか
    • 考察その1:GRの思惑とはなにか
      • Irisによるシステムの欠陥性
      • 大神の神化とGRの策略
    • 考察その2:ハラジュクへの接近の意味とはなにか
      • ハラジュクエリアの成り立ちでの謎
      • 美々兎は利用されたのか
    • 考察その3:白金財閥とゼネラルリソースの関係性はなにか
      • アザブの保守体質とゼネラルリソースとの親和性
      • アザブエリアの今後の展望について
  • おわりに
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