outcry-ongakuの語り場

電音部に関する記事をちょくちょく書いてます!(不定期更新)

【セトリのお話】「GENECIDE」のあれでなにのお話

はじめに

 この記事はGENECIDEで行ったDJのセトリについてのお話です。まだ聞いてない方も配信で聞いた方も是非一度、以下の再現MIXを聞きながら本記事を読んでいただけますと幸いです。

www.mixcloud.com

セトリのコンセプトについて

 記事を書く前に一つ言わせてください。めっっっちゃ緊張した……。

実はDJを始めてもうすぐ一年なのですが、トリは初めてで、しかも同じBoothにいるのは大きなイベントを行ってるオーガナイザーやレジデント、海外で活躍するDJからコンスタントに様々な現場に出演しているDJまで……そんな人達を押しのけて普段は音楽のオタクとして色々な現場で狂ってるだけの自分がトリに据えられているのだから緊張もMAXでしたね……当日は酒でごまかしてたけど。

 まあ、そんな訳で今回のセトリのコンセプトはMIXのタイトルにもあるように「自身のカルチャーの破壊と再構成」です。クラブカルチャーに触れる前の音楽への触れ方も含めて、電音部、VTuber、アニメ、合成音声、クラブミュージック……etcと様々なカルチャーに飛び込んで触れながらも、何処か一つに定住することなく往復を繰り返しながらここまでやってきたからこそ、それぞれのカルチャーをバラバラに分解してから一つのMIXにする。それが今回、俺なりの「GENECIDE」だった訳ですね。

 これはセトリを8割ぐらい組み終えてから、主催のLantoraさんから聞いたBooth2のテーマだったのですが、「オタクメインストリームに潜む何か」と「柔く、固く」の二つだったそうで、後者はともかく、前者はまあ達成できたかなと思ってはいます。

今回の選曲について

1曲目:Shelter (Momo's keys & Bedhair Remix)

 一曲目についてはここからのことを考えても、無難な手堅い一曲にしようと思っていました。そういう意味でPorter Robinsonって本当に偉大だと思います。

だって、どこで掛けても盛り上がりますもん。どのカルチャーにおいてもPorterの楽曲って人を動かすエネルギーを持っているというか、人を惹きつける魅力があるんだろうなと聞く度にいつも思います。

2曲目:SEVENTH HEAVEN × Musician (dooon MushUp)

 これは琴葉姉妹の楽曲を作曲しているどぅーんさんという方がいるんですが、その方が作ったPerfumePorter Robinsonマッシュアップです。

このマッシュアップ、個人的に無限に掛けたい程大好きです。Perfumeの歌声とPorter Robinsonの楽曲の魅力が本当に綺麗にMIXされていて、初めてこのマッシュアップSoundcloudで聞いた時の感動は今でも忘れられない位にFavoriteです。

このマッシュアップ、琴葉姉妹Coverのものもあるのですが、ここでShelterからこのマッシュアップに繋いだ要素として、とあるイベントのとあるトリがぶちかましたShelter→一輪の詩→SEVENTH HEAVEN × Musicianの意趣返しの意図は天地神明、決してなかったことをここに誓います。

3曲目:Constant Moderato(Napo Bootleg Remix)

 という訳で、三曲目は今流行りのブルーアーカイブから。

 ブルーアーカイブの楽曲、Norさんやミツキヨさん、KARUTさんという今を輝くコンポーザーさんが書いてるからか、いつもフレッシュさを感じているのですが、このConstant Moderatoってどこか懐かしさも感じるサウンドなのが個人的に好きなポイントです。ただ、どこに懐かしさを感じているのかといわれると言語化はできないのですが……。

 ちなみに、ここまでの3曲共に自分の前の番手であるDJ Cygnubeさんの好きなカルチャーになったのは本当に偶然です。気持ちいい繋ぎが特定個人への私信になるのがカルチャー横断の恐ろしい所やで……。

4曲目:夜明けに翔び立つ神社(Extended Mix)

 はい、最悪インターネットのお時間です。前の曲すら最悪インターネットにする悪魔の繋ぎです。キヴォトスではクッキー☆ごっこは恥ずかしいことなんだよ!

DJだったりクラブカルチャーに触れたりする前はこういうインターネット音楽に傾倒していた時代もありました……という一種の懺悔的な繋ぎだったりもします。

 ただ、個人的にはトリのDJって気張ったガチガチのセトリよりも、こういうどこかで息を抜くような曲が入っていてメリハリがあるようなセトリの方が好きなんだろうなとセトリを作っていて思いました。

5曲目:星座になれたら(NOEMA Remix)

 下北沢を例のアレから解放したアニメこと「ぼっち・ざ・ろっく!」より。

この前、ぼざろアニメを全部見たんですが本当に好きな部類のアニメでニッコニコになりました。

青春モノのような暑苦しさとは違うゆるさがありながら、バンドの現実や在り方などの真面目な部分は真正面に捉えようとする。そういう丁寧な作り込みが人気を博しているのかなと思います。

6曲目:ビードロ模様 (Letiamash Bootleg)

 夏のアンセムといえばこれ!という節があるぐらいには掛かっているビードロ模様

 自分がこの楽曲と出会ったきっかけは実はアニメではなく、8年前にニコニコ動画に投稿されていたQubicLoopさんのTell Your Worldとのマッシュアップだったんですよね。当時はDJやクラブカルチャーなんか知らなくて、本当にたまたま聞いた時に「この曲好き!」ってなった曲がアンセムとして愛されているのを知ると、感慨深いというか、音楽との”遭遇”って不思議なんだなと実感します。

7曲目:Silent Space Like Silent Sea(feat. 結月ゆかり)

 ここからの二曲は自分へ宛てた私信ゾーンになります。なので、正直ここについては刺さってくれる人が一人でもいればいいなと思って掛けてました。

元々、ここからトワイライトガールへの繋ぎは昔から考えてた繋ぎであり、出すタイミングを失ってたのですが、やっと蔵から出せました。漬け込みすぎたかもしれない。

この曲を書いているmarokさんは合成音声を中心にProgressive HouseやKawaii Future Bassなども書かれる方なのですが、本当にいい曲が多いので推しコンポーザーの一人です。本当にこれからも新曲を楽しみにしております……!!

8曲目:トワイライトガール

 これは完全に自分が大好きな琴葉姉妹を掛けたいが為の選曲です。マジのガチで我欲の一曲です。

ただ、この我欲に関して一つ言い訳がましいことを言うと、この楽曲が一番映える舞台を自分は見てしまったからだという部分があります。1月に開催されたKotonoha Night Party(通称:コニパ)でトリのAkihiro Ohtaniさんが掛けたトワイライトガールがずっと刺さり続けているんですよね。それを少しでも共有したくて掛けている所があります。

 余談ですが、Twitter、もといXにて無限に琴葉姉妹楽曲の話をしていたことで、フォロワーが興味をもってくださって本当にうれしかったです。好きなものを共有できるってこの世の幸せの中で一番大きなことなので。

9&10曲目:Heartstrings × scent (feat.花隈千冬) (DJ GabaE Short Mashup)

 個人的に一番語りたい部分です。正直、このセトリで一番滅茶苦茶やったのはこの部分でしたね。

元々、セトリの初期案として前半の四つ打ちを中心にして、自分のメインジャンルたるProgressive Houseで終わるつもりだったんですが、7月中旬にCeVIO・SynthesizerV・NEUTRINO or トーク系ソフトキャラクター関連楽曲中心イベントであるVirtual Voice Harmony(略称:ボイハモ)に行って死ぬほど狂ってきた次の日。興奮冷めやらぬまま曲を繋いでた時にふと、ボイハモで流れてたscentとクラブでよく聞くHeartstringsって合うんじゃね?ってなり、やってみた所、これが死ぬほど気持ちよく合ってしまったのです。

こうなると、やっぱり人にかっこよく見せたくなるのが嵯峨ってものなのですが、その時に直近でこれを掛けられるイベントがGENECIDEしかなかったんですね。

なので、泣きながら一度組んでたセトリをほぼ全壊して、入れられるように組み直した形となってます。ただ、これは偶然なのですが、本番の時にいた野良VJさんが自分が愛してやまないscentのMVを流してくれたので、正直おつりが出るほどのリターンが返ってきました。オタクってちょろい生き物なんですよね。

11曲目:カラカラ×Heartstrings (MiAN Mashup)

 11曲目から12曲目の流れはMU2023のTaku Inoueのオマージュを意識した部分があります。

トリをやる上で、古今東西様々な舞台のトリを回想していく中でTaku Inoueだったり、kzだったりが見せるある種の「予定調和」的な進行の面白さを再確認していました。正直、Heartstrings→Allegroの繋ぎって何遍も聞いてるし、普通に家で聞いても綺麗なよくある同一コードの繋ぎなのですが、クラブで聞くとやっぱり大きな声が出るというか、「わかってはいるけど抗えないモノ」があるのを実感させられるなと思います。

 ただ、MUよろしくSteller Stellerのマッシュアップを掛けるのは露骨すぎるので、別のマッシュアップを。Anison HijackのブートはDJを始めようと音源を漁っているときから知りはじめたのですが、思いもしなかったジャンルや方向性でぶん殴られるブートが多いので本当に好きです。このカラカラのマッシュアップもそういった経緯で好きな楽曲だったりします。

12曲目:Allegro

 繋ぎの面での話は先ほどしてしまったので、楽曲自体の話を中心にすると、この楽曲が収録されていたアルバム「Overture」について、逆張りで買わずにスルーしようとした過去があります。

今となれば恥ずかしい話ですし、Taku Inoueも星街すいせいも好きなのにスルーはヤバいだろと言われても仕方ないのですが、これは昔からの性根なので本当に治らない悪癖の一つです。皆は好きなものには順張りしような!

そんな逆張り満々で、この楽曲が出る前に公開された「Overture」のクロスフェードを聞き、AllegroとHighwayを知った瞬間に「ここでダセえ逆張りしてる場合じゃねえ!」と本能が訴え、無事、初回限定版を買った思い出があります。やっぱ俺はTaku Inoue×星街すいせいのコンビが大好きだわ……。

13曲目:Beat Me! (feat. kamome sano)

 このブログを始めるきっかけでもあった電音部からはこの曲。

Beat Me!については自分が電音部の中で一番だと思う楽曲を選ぶならこれ!となる位には好きな楽曲です。

元々kamome sanoさんを知ったキッカケは電音部が始まるよりもっと前、沙野カモメ名義で活動されてた時に音ゲー好きの友達からSDVX IIの曲を教わった時に出会ったginkihaさんとの共作である「Dawn of Asia」を聞いたことでした。民族調の楽器をメインに据え、それに合わせるように展開する電子楽器の音色とDnBのリズム。今考えると、kamome sanoさんのDnBが元々好きだったんですね。

その出会いから数年経ち、音ゲーから離れてすっかり忘れていた時に電音部ラジオでBeat Me! (feat. kamome sano)のタイトルコールと共にこの曲を聞いた時のことは忘れられない思い出です。本当に涙が出た。

この曲を聞く度に、自分が人生で初めてクラブに足を運んだ今はなきAgehaの「冬の宴2021」を思い出します。あそこで初めて出会った全てのことが今の自分のルーツになっているんだなと実感できるので。

14曲目:Redefinition (Jun Kuroda Remix)

 ここでは敢えて合成音声とは言わずにボカロとしての話をするんですが、その昔の自分は逆張りオタクの極みでボカロから離れた時代があります。また逆張りしてるよコイツ。

今でも、昔を知る友人から「お前、昔はボカロ嫌いだったじゃん」と言われる位には逆張りかましていたんですが、それは羨ましい程に好きな音楽があったからなんだろうなと今は思います。

そんな出来事から10年ほど経ち、自分がMwkさんが出している初音ミクの楽曲を聞いた時に懐かしさと今までにない新しさを両方感じたのはそういう歴史的なものを感じたからかなと思ったりもします。初音ミクが世に出て10年以上経っている事実を信じたくねえよ俺。

15曲目:Moonlightspeed

 多分、一番悩んだ最後の曲。元々はPorter Robinsonで始まり、Porter Robinsonで終わるように「Something Comforting×Tell Your World」で終わろうかなと思ったのですが、余りにも安直だったので没に。そこから何曲も吟味し、味わい尽くした結果の末に選んだ楽曲になります。

ナイトのクラブの終わりって、疲れてるし、早く帰って寝たいという気持ちもあるんですけど、それ以上に「まだ終わりたくない、まだこの夢から醒めたくない」と思う気持ちが強いんですよね。それを一番実感したのが「俺たちなりのAgeha」で水星を聞いた時でした。そういえば、あのパーティも逆張りで行かなくていいとか思いかけてたな。そういった想いと、歌詞の「夜はまだ明けない、明けない 夢はまだ覚めない、覚めない」がリンクしてこの楽曲を選びました。今はこの曲を選んで本当に良かったと思います。

 明けない夜はないと分かっていても、それにただ従うのではなく、最後に足掻いてから終わりたいみたいな反骨精神ってなんていうかサブカルチャーの原動力なんだろうなと思ったりもします。「これは可愛い、これは可愛くないじゃなく、全てがKawaiiじゃん!」だったり、「夢を夢で終わらせたくない!俺は叶えて見せるんだ!」だったり、現実に圧し潰されまいとする純粋な熱意が人の心を打ち、その熱意が伝播して文化を成している。だから、自分はサブカルチャーという文化が好きなんだろうな改めて実感しました。

おわりに

 こうやって楽しいイベントに参加できたこと、そして、そういったパーティの運営に携わっていたLantoraさん、なにかさん、Albireoさん含め関係者全員にこの場を借りて感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます!

 まあ、多分今後もDJは続けると思います。正直、音源代バカになんねえし貧乏の素になりつつある気がしますが……。それでも、今はこのDJが生きがいの一つになっているのも事実なんですよね。なので、DJが生きがいじゃなくなるその日までは、長く細く続けていこうかなと思っています。

最後に、締めの言葉として在り来たりなものを言って終わりにしたいと思います……。

 

本当にお疲れ様でした!