outcry-ongakuの語り場

電音部に関する記事をちょくちょく書いてます!(不定期更新)

【セトリのお話】「GETLUCKY」のセトリについてのあれそれ

はじめに

 本内容は2023/8/4に行われたAKROGLAMイメージクラブイベント「GETLUCKY」で不肖ながら私が行ったDJのセットリストに関するちょっとした裏話的内容になる。

再現MIXを録っておりますので、是非ともそちらを聞きながら本記事を読んでいただけると幸いである。

www.mixcloud.com

制作前夜のお話

 「GETLUCKYに出ませんか?」と今回の主催であるつばきち。さんからご連絡を頂いた時、いつもなら二つ返事で受ける私が少し受けることを悩んだ。

理由はいくつかあって、AKROGLAMというコンテンツが持つ音楽が自分が普段やるDJの音楽とは異なる部分があることや単純にNightの現場が初だったということもある。

ただ、それを差し置いて一番悩んだ理由は「自分が果たしてその舞台に立つべきなのだろうか?」という点だった。

AKROGLAMは音楽と物語を主軸に置いたコンテンツで2022年に完結を迎え、公式な活動は終了している。それでも、AKROGLAMが生み出した音楽は愛され、コラボした経験を持つ同じ音楽主軸のコンテンツである電音部がカバー楽曲としてASTRAMの「イルシオン」を出した時は大きく話題にもなった。(これに対して、イルシオンを電音部の曲とかいう奴は許してないが)

それだけにAKROGLAMというコンテンツを深く愛している人達が会場に来てくれることは分かっていた。どんな人が来るのかをTwiplaで覗いてはいたが、コンテンツの最初期から追っている様な人達やAKROGLAMのボーカルディレクションを務めた方まで参加表明している。そんな場所に自分が立っていいものなのだろうか。

ただそうであっても、つばきち。さんからそういう貴重な出番を貰えたのなら、自分のAKROGLAMへの愛を目いっぱい表現するDJにしよう。その気持ちでこの話を受けることにした。

 まず、他に参加されるDJの方から何となく流れそうな曲を考えていた。AKROGLAMの全楽曲はカバー楽曲含めても20曲ちょいしかない。当然被りは生じるのだが、できるだけMIXの方向性は逸らしたい。RUBYSTASのDJは主催のつばきち。さんがやるだろうなとか、OFF-tΣralさんはASTRAMを中心にしてFuture Summerの再演を作るだろう……etcと考えたとき、自分がDJとして表現すべきデュオはSPIRALしかないだろうという結論に至った。

しかしながら、SPIRALとしての曲は私がAKROGLAMの中で一番好きな「Cloud nine」1曲しかない。アオとケイのカバー曲を含めてもSPIRALに関係する曲は5曲だ。その中で、どうSPIRALを表現するか。私はそんなことを考えながら公開されているSound Dramaを聞く日々を過した。

アオとケイの関係性のイメージを考察する

 元々、AKROGLAMにある楽曲のテンポ感を考えても、SPIRALの音はDownTempoやChillhopの方向で組み立てるのが良いだろうなと思い、そのあたりの曲を片っ端からBandcampで漁り爆買いし、MIXを作る為の素地を集めた。

問題はそれをどうSPIRALの色にするのかという点だ。その為に、再度AKROGLAMの関係性のイメージを考察していく。

MINERALSの二人はデュオとして正統派な「絆」という言葉が似あうだろう。RUBYSTASは曲でも度々出る「愛」のイメージが強い。そして、ASTRAMはその成り立ちが歪だとしても「家族」として繋がっている。なら、SPIRALはどういうイメージが適切か?

最後のアオの言葉から考えてもアオとケイは幼馴染であり、デュオを結成したのも打算やスカウトなどではないと考えられる。なにより、アオとケイは友達以上の関係だろう。しかしながら、互いに恋する二人……という訳でもない。

互いに互いを想う気持ちはある。しかし、その気持ちの裏に何かがある訳ではなく、純粋にお互いがお互いの幸せを祈る感情。この何とも形容しがたい関係性こそSPIRALなのではないかと考えた私は、敢えて曲で何かを語る文脈のセトリではなく、想像を生み出してそれぞれに色を付けてもらう”曖昧さ”を持ったセトリにすることにした。

舞台設定と流れ ~Thier Destiny is like a Spiral~

 その上で舞台設定を考える必要がある。一度は解散し、紆余曲折を経て再結成した人気カリスマユニット、SPIRALの二人だけが映える舞台はどこか。これは会場のメディテラさんから連想して深夜のGETLUCKYだろうと思った。アオとケイにとって、GETLUCKYはSPIRALとしての始まりの場所。そんな場所でなら、二人の積もる話もぽろぽろと出てくるだろう。私のGETLUCKYへのイメージとメディテラさんの箱の雰囲気が合致した瞬間だった。(これは本当にこのパーティをメイクしてくださったつばきち。さんに感謝しかない。)

 

 舞台設定は整った。その上で最初に掛ける曲を考える。

最後にCloud Nineを掛けて締めることは決めていたので、問題は頭の曲になる。ここでオタク語りポイントになるのだが、再現MIXにある一曲目のオルゴールは幼少期にアオとケイがラヴから聞いていた歌の一つとして掛けている。本当はSweat My Devilのオルゴール版でも作成しようかと思ったがそんな技術力はなかった。俺に……力があれば……

その上でMIXスタートの最初の曲はケイが歌うTime goes by。これはアオとケイの二人がいて最初に歌うのはどっちかと考えたときに先に歌うのはケイだと個人的に思ったからだ。そんなケイの歌声をアオはマスターの出すカクテルと共に楽しんでいる。そんな姿が個人的に脳裏に浮かんでいた。

そうして、ケイが二曲目の「藍」を歌った後に「アオも歌わないの?」と少し寂しそうに言う。そんなケイの姿を見て「しょうがないわね……」なんて言いながらマイクを受け取るアオ。ここら辺はキモいオタク語りになるが、アオの何とも言えない母性的な優しさがたまらなく私を狂わせる。

そうして、アオも歌い、興が乗った二人はお酒を嗜みながら語り合う。その内容は分からないけど、きっと昔の思い出、あの日のこと、そして、未来の自分達の姿を語っていたのだろう。

楽しい時間は早く過ぎていく様に夜が明け、少しずつ日が昇り始める中で二人は最後に一曲歌う。

螺旋のような二人を繋ぐ「Cloud nine」を……。

Timeの話

 最後の「Cloud nine」の前に掛けた宇多田ヒカルの「Time」。この曲はSPIRALを表す曲として個人的に気に入っている曲だったりする。元々、宇多田ヒカルはイメージとして掛けるつもりでセトリを組んでいたのだが、中々作っていくコンテキストに合う曲が見つからず……。そういや、数年前のドラマで宇多田ヒカルが主題歌を歌ってたよなと何の気なしにこの「Time」を聞いた瞬間にセトリの最後のピースが埋まった感じがした。

「カレシにも家族にも言えない いろんなこと あなたが聞いてくれたから どんな孤独にも運命にも耐えられた」という歌い出しで「大事な人」へ当てた歌でありながら、その後の「いつも近すぎて言えなかった、好きだと」で本当の想いは伝えられないもどかしさを歌うこの曲。セトリを作りながら、本当に宇多田ヒカルの詩的センスに驚かされていた。なんなんだこの人、人生二回目してないか?

個人的に一番好きなフレーズは「出会った頃の二人に教えてあげたくなるくらい あの頃より私たち魅力的 魅力的」の部分。

きっとSPIRALは幼い頃の二人の時より、デュオとして活動を始めた一回前の大会の時より、紆余曲折を経て、お互いがお互いを想って合っていると知った、大人になった今こそ一番輝いていると思っている。

だから、歌詞にもあるように最後に時を戻す呪文を、一歩を踏みだす勇気を母親に会いに行こうとするエノに託す。そんなアオとケイがいたらいいなと思っている。(これを書いててキッショ(誉め言葉)になった自分がいるのは内緒)

さいごに

 本当にGETLUCKYに参加できてよかったし、お褒めの言葉を頂けて恐縮の限りとなった。

確かにAKROGLAM自体の活動は終わってしまったし、新曲が出る……なんて奇跡は多分ない。それでも、音楽が配信されている限り、その曲を聴く人がいる限り、そして何より、コンテンツを愛する人がいる限り、そのコンテンツは忘れられることなく残り続けることを実感した。

GETLUCKYの二回目があるかどうかは分からない。しかしながら、二回目があれば是非とも参加したいと思っている。(客側として)だから、最後の締めの言葉はこうしようと思う。

 

またいつか、どこかで。

 

(本イベントを主催してくださったつばきち。さん、自分の手番VJをしてくださったいとさん含め関係者の皆様、本当にありがとうございました。二回目がありましたら是非お手伝いさせてください……)